2024/08/27 11:46

ペーパードリップ式

「ドリップコーヒー」とは、粉にしたコーヒーの上からお湯を注いで抽出する方法ですが、その中でも一番カンタンなのがペーパードリップ式。使い捨てができてなおかつ安価、そして誰にでも本格的なコーヒーをいれることが可能なので、多くのコーヒー愛好家に親しまれているアイテムです。
ペーパードリップをセットする「ドリッパー」には1つ穴式と3つ穴式とがあります。穴の数の違いで抽出スピードも変わりますので、自分なりのベストバランスを探すのも楽しいかもしれません。

ペーパードリップ式に必要な器具

〈ペーパーフィルター〉

ドリッパーにセットする紙製フィルター。ペーパーフィルターは色々なサイズがあります。できるだけ隙間ができない様、必ずドリッパーに合うサイズを用意しましょう。

〈ドリッパー〉

ドリッパーはコーヒーを濾すための器具。様々な種類があり、ドリッパーによって素材や形状などが異なります。

〈メジャースプーン〉

ドリッパーと計量スプーンがセットになって販売されている場合が多く、そのほとんどが、コーヒー1杯につきスプーンすり切り1杯のコーヒー粉で淹れられるようになっています。別に購入する場合は、素材も豊富で、量の調節に便利な目盛り付き等もありますので自分の好みで選んでみてください。

〈サーバー〉

ドリッパーから抽出されたコーヒー液を受けとめ、カップへ注ぐための容器。殆どの場合、メモリが付いているので抽出量がわかります。素材の種類や容量もさまざまで、使い勝手のよさを考えて選ぶのがおすすめです。

〈細口ドリップポット〉

やかんでもコーヒーを淹れられますが、ドリップコーヒー専用の注ぎ口が細いタイプを使用することで、お湯を注ぐ量を微細にコントロールできます。素材や注ぎ口、サイズも違いがあるので、扱いやすいものを選びましょう。

〈カップ&ソーサー〉

コーヒーカップはどれも一緒…ではありません。カップの種類によってコーヒーの味わいに大きな違いが出ます。例えば、厚めのカップは苦味を感じやすく、薄めのカップは酸味を感じやすいといわれています。また、素材によっても保温力、口当たり、香りの立ち方が変化するので、自分の好みにあったカップを選びましょう。一般的に、紅茶カップと比較するとコーヒーカップは背が高く、寸胴な形で飲み口が狭いものが多くなっています。

ドリップ時に気をつけること

・器具はあらかじめ温め、汲みたての水道水を沸かす
抽出に必要なドリッパー、サーバーをはじめとしてカップやソーサー、そしてスプーンに至るまで温めておきます。そして使う水は普通の水道水でかまいませんが、汲みおきや長時間沸かした湯より、水道から出したばかりの水を使うのがポイント。二酸化炭素が混じっている方がコーヒーの抽出により適しているからです。同じ理由から、朝一番に蛇口をひねった時に出てくる水は溜まっていた水も含まれるため、しばらく流してから使うとよいでしょう。

・抽出のための理想的な温度
コーヒーは温度によって溶け出す成分が違ってくるため、一般的には高温での抽出は苦味・渋みをより引き立たせたいとき、低温は軽い味わいや酸味を楽しみたいときに最適と言われています。豆の種類や焙煎のレベルにもよりますが、お気に入りの味を引き出すために抽出温度を変えて比べてみるのも一つの方法。高温は90度前後、低温は80度前後が目安です。「マイベストコーヒー」を追い求めるときは、ぜひ温度にもこだわってみてください!

・コーヒー粉の「適量」を見つけよう
ドリッパーに添付されている計量スプーンは、実はメーカーによって大きさがまちまち。ドリッパーに合わせた適量がはかれても、必ずしもそれがお好みに合うとは限りません。また、コーヒー豆の焙煎度、種類、挽き方によっても適量が違ってきます。いつも安定した味わいを求めるのであれば、きちんと計量することをお勧めします。まずはスプーンすりきり1杯ではかったものを基準として、そこから増減し、好みの味に近づけていくとよいでしょう。

・いよいよ抽出、でもその前に・・・
お好みのコーヒー豆の量が決まったら、作る人数分をしっかりと計って入れましょう。例えば2人分作るなら、2倍の量を計ります。また、十分なお湯の量を用意できていますか? 何回かに分けてお湯を入れますが、途中で途切れないように注ぐのがポイントです。ベストな温度で必要な量だけのお湯が準備できたら、いよいよ抽出。フィルターの接着部分を互い違いに折り曲げ、ドリッパーにセットします。必ずドリッパーのサイズに合うものを用意しましょう。

・そのコーヒー豆、鮮度は大丈夫?
ところでみなさんは、コーヒー豆やコーヒー粉をどうやって保存していますか? 鮮度が命のコーヒー豆は、高温多湿に弱く酸化しやすいので冷暗所が基本。豆でも粉でも、密封性の高いジッパー付き保存袋などに1回分ずつ小分けして冷凍庫で保管するのがオススメです。用具を揃えてお湯の温度をセッティングしたら、フレーバーだけではなく「コンディションの良さ」にもこだわりましょう!「コーヒーの保存方法」もぜひ参考にしてください。

・「蒸らし」が深い味わいをもたらします
抽出時に大切な工程は「蒸らし」。コーヒーに少しだけお湯を注ぎ、水分を含ませることでコーヒーの味わいをより引き出します。均等に蒸らすことができるように、コーヒー粉はあらかじめドリッパーを少し揺するなどして平らにしておきます。このときのお湯の量は少量で! ポタポタとコーヒーが少しだけ落ちる程度です。お湯を入れるときはペーパーフィルターに直接お湯をかけないよう、真ん中から小さな円を描くイメージで静かに入れましょう。

・コーヒーの「花」を咲かせましょう♪
コーヒーに少しだけお湯を入れて蒸らすときに見られる現象を「ブルーム(bloom)」と呼びます。直訳すると「花が咲く」という意味ですが、これはコーヒーの粉に含まれるガスや二酸化炭素が膨れ上がって放出し、ペーパーフィルター内のコーヒーが独特な香りを放ちながら、まるで花が咲いたような形になることを指しています。焙煎したてのコーヒーであるほどブルームは見られますので、こだわりの豆を使ったときはチェックしてみましょう。

・あれ!? 膨らみがイマイチ……。なぜ?
コーヒーにお湯を注ぐと、粉の中に含まれるガスなどが膨れ上がって、独特の芳醇な香りが漂う……はずなのに、なんだかあまり膨らまないし、香りもイマイチ。そんなときは残念ながら、すでに酸化してしまっているのかもしれません。コーヒー豆はいわば「なまもの」。理想的なのは飲む寸前に豆を挽き、その豆も新鮮なうちに使い切ることです。コーヒーの旨さをトコトン追求したい方は、「良質のコーヒー豆」を「少量ずつ」準備しましょう。

・「ファーストドリップ」を逃すな!
コーヒーは抽出直後の最初の一滴、いわゆる「ファーストドリップ」が一番コンディションがよく、おいしいと言われています。きちんとセットした状態でお湯を注ぐ理由にはここにもあるのですね。一方で絶対に入れたくないのは抽出後の最後の一滴。コーヒーのアクや雑味などが凝縮されたものが入ってしまうので、せっかくの「ファーストドリップ」が台無しです! おいしいところだけを味わえるよう、早めにドリッパーを外しましょう。

・最後にかる〜く混ぜましょう
ようやく抽出したコーヒー! 最後にスプーンなどで軽く混ぜてからいただきましょう。カップの上下でドリップした濃度が異なるので、意外にもこのひと手間が大切なのです。豆の種類によって、挽き方、お湯の温度や量、蒸らし方などはさまざま。基本的な手順は同じですが、コーヒー豆の良さを引き出したり、自分の好みの味を見つけたりするには、何度も「淹れてみる」ことが必要です。コーヒーにハマる人が多いのもうなずけますよね。